植物を育てるのが上手い人下手な人
去年の夏、チランジアをほぼ全滅させてしまいました。
住んでいる地域が水害に遭うなどして、不穏な感じで迎えた梅雨明けの後。
急に気温が上がった中、東のベランダに出しておいたチランジアに気を配ることなく数日が過ぎて、気が付いた時には手遅れだった。
当時8株ほどしかいなかったけど、ほとんど全滅だった。
あれからまだ1年経っていないし、今もあのことを思い出して、自分は植物を育てる資格なんかないんじゃないのか、と考えることがある。
特に、何か失敗や、予想外の悲劇(子株が枯れるとか)が起こった時に、いちいち思い出してしまって、ああやっぱりわたしは植物は向いてないんだ、と思ってしまう。
昨日も、イオナンタ・フエゴの極小の子株が枯れて、親からポロッと外れて行方不明になってしまうということが起こった。
なんで子株が枯れたのかわからない。
原因がわからないと、自分の何かが悪かったんだろう、という結論に至って、無闇に落ち込んでしまう。
サボテンの人
そもそもわたしが植物を育てることに苦手意識があるのは、昔、サボテンの話題で、知人の話に衝撃を受けたからだった。
当時わたしは植物をほとんど育てたことがなかった。
ただ、雑貨屋によくある、極小の植木鉢に植えられた、土の表面がカチカチに固められたサボテンを買ったことはあった。
で、「時々霧吹きで水をやればよい」と聞いて、適当にやっていたのだが、短期間で枯れた。
そんな経験しかなかったものだから、その知人に、「サボテンすぐ枯れる」とか言ったのだと思う。
そしたらその人は、わたしの言葉が心底意外だったように、「ええー?サボテン難しくないよ。うちのは次々に花が咲くよ」と言ったのだ。
ショックだった。
サボテンに花なんか一度も咲いたことない。
自分は、植物を育てるのがすごく下手な人なのだと判断した。
育て上手を装うコツ
その後、少し大人になって、もう一度あのサボテンの人のことを考えてみた。(忘れてない自分のしつこさも困ったものです)
当時のわたしは、小さなサボテンすら1回か2回しか育てたことがなかったし、あとで本で知ったけど、カチカチに固められた化粧土は植物にはよくないから、ほぐして植え替えてやるべきだったらしい。
そんな基本的なことすら知らなかったワケで。
知ってれば、もしかしたら枯らさずに済んでいたかもしれなかった。
それに、その人はこう言った。
「次々に花が咲く」
つまり、おそらく、その人が育てていたのは一鉢ではないのだ。
複数の株を育てていて、それが次々に咲くということだろう。一株のサボテンにそんなにたくさん花が咲くとも思えないからたぶんそういうこと。
要は、育てている分母が多ければ、成功する分子も多くなるのだ。
よく考えれば理の当然。
経験や知識はもちろん必要だけど、それに加えて同時に栽培する数が多ければ、うまくいっている株が常にいくつかあるという状態を保てる。
……そう考えると、あのサボテンの人が特に育て上手だったわけでもなさそうだし、わたしが特に育て下手なわけでもない、という可能性も出てくる。
今わたしがメインで育てているのは、サボテンではなくチランジアだけど、25株あるので、たまにはどれかに花が咲くし、たまには発根したり子株が出たりもする。
その陰でいくつも枯れたり腐ったりしてるけど、そんなことは言わなければ誰にも知られない。
下手の横好き
というわけで、自分を育て上手に見せかけるコツは心得たけど、実際のところどうなのかというと、やっぱりわたしは植物を育てるのは上手い方じゃないと思う。
知識は多少増えたけど、上達はあまりしていない。
たとえば。
根が出ていない株をバークチップや流木にくくりつけておくと発根して着生するというので、くくりつけてるんだけど、いつまで経っても根が出ない。
そうかと思うと、何にもくくりつけてない放置株から根が出てくる。
全然、思惑通りにいかない。
たとえば。
同じ親から子株が2つ出る。
2つともある程度大きくなったので親から外して、一緒に育てる。
まったく同じように育てていたのに、ある日突然、一方だけが枯れる。
そんなことも実際にあるのです。
なぜそうなるのか謎。植物は本当にわからない。
枯らしたり腐らせたりするたびに、申し訳ない気持ちになる。
ある品種など、いくつ買っても全部腐ってしまうので、もう買うのをやめてしまいました。
そうして、「上手くいく率が高い品種」を重点的に買うようになったので、成功率は当然上がってきたけど、決して育て上手になったわけじゃない。
英語で言うGreen Thumb(緑の親指=園芸が上手い人)に憧れるけど、もうたいがい諦めました。
これからもずっと、下手の横好きとして、失敗ばっかりしながら、植物たちと付き合っていくんだろうなと思います。植物たちはいい迷惑だろう。