宇宙手帳

広く日常。

万年筆ときれいな字

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先週土曜日、大阪の某文具店で開催されたペンクリニックに行ってきました。
ペンドクターは川口明弘先生。すでに(10年くらい前から……)何度もお世話になっています。


今回は、太字の万年筆を買いに来たというのが当初の来店目的だったのですが、偶然ペンクリニックもやっていたのでした。


どういうわけか、最近急に、日記や雑記ノートに太字でザクザク書きたい!という欲求が急上昇してまして。
太字で書きたいというより、もとをただせば「大きい字でのびのび書きたい」という心理かな。

きれいな字とは

さて、ペンクリニック
川口先生がこんなことをおっしゃいました。

万年筆は、きれいな字を書くための道具。

きれいな字とは、その人にしか書けない字のこと。
他の人が見て、ああ、あの人の字だなとすぐにわかる字。
それがその人の一番きれいな字。

ペンが合わなくて、変な筆圧をかけてしまったり、不自然な角度になってしまったりしては、
きれいな字が書けない。自分の字が書けない。
自分の持ち方で、その人の一番きれいな字が書けるように万年筆を調整するのがペンクリニック


そうだったのか!!

自分の中では、「きれいな字=ハネやハライが効いていて、美しい連綿を伴う縦書きの美文字」でした。
新しい「きれいな字」の定義に新鮮な驚きでした。

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1年間・美文字への道

そもそも子供っぽい自分の字があまり好きではありません。
学生の頃は、大人から「マンガ字」(←死語?)とか呼ばれて小馬鹿にされました。
今も、「かわいい字」と年下の友人からまで言われる始末です。「かわいい字って言ってるけど、つまりは子供っぽい字だってことだろうなあ」と思っていました。


そこで、大人っぽい字を書こうと一念発起。いわゆる美文字を練習し始めたのが1年ちょっと前。
そのために、変な癖があったペンの持ち方を正しい持ち方に矯正したのも、ちょうど1年前。

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ですが。
1年経ったから言いますけど、1年くらいでは、きれいな字になんかなりません。

「美文字っぽい字」を書くことは、できるようになりました。独学ペン習字で。独学でもなんでも、やってることは究極、「上手い字の真似」です。
美しく書くぞ!と構えてじっくりとペンを運べば、お手本なしでも、最初の頃と比べて見違えるほど美しく書けるようになりました。


でも、素早く書く普段の字は、相変わらずの子供っぽい字です。
素の字は変わらないまま、別途新たに「美文字風」の書き方を身につけただけの話です。

1年で終了?

美文字風で日記などを書くことにも飽きてきました。
もっともっと美しい達筆で書く人が他にいくらでもいるのに、わたしが中途半端な美文字風で手書きする意味って何だろうとか考えちゃって。


「きれいな字ですね」と褒めてくださる人もいるのですが、この程度の字を褒めていただくのが、なんだか申し訳ない気持ちになってしまって。
美文字風ったって結局は人真似の字にすぎないから、褒められるとそういう謎の後ろめたさがあるのでしょう。

これからの日記

「美しい字を書きたい」というシンプルな動機から始まって、美文字風日記をしばらくやっていましたが……。
手書きの公開日記なんかは、川口先生の言われる「その人の一番きれいな字」という字で書いた方がいいんじゃないかなあと思ったのです。


それまで万年筆といえば、ペン字っぽくハネやハライがキレイに決まる細字や極細を好んで使っていたのに、最近になって突然太字万年筆がほしくなった理由もなんとなくわかってきました。
「大きい字で汚い字でザクザク大量に書きたい」という願望が湧いてきたからです。おそらく、美文字を追求しすぎた反動でしょう。


細字万年筆で書く時って、なぜかペン字っぽく美文字っぽく書かないといけないような気持ちになってしまうのですが、太字の時は、ペン字っぽく決まりにくいので、かえって自由に書けそう、と考えるようになって、太字がほしい!と思うようになったのです。

そんなタイミングで、川口先生から「きれいな字というのは、その人にしか書けない字ですよ」と言われたので、すごく安心したのでした。
これから日記は太字でのびのび書こうー!(きれいな字かどうかは措いといて)

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というわけで、太字(B)買いました。


きれいな字を書きたい、という目標は変わらずあるので、ペン字も毛筆も、練習は続けています。
それはそれ、これはこれで、別物です。