宇宙手帳

広く日常。

友達がありがたい

小さい子供たちを相手にしている職業の友達が、時々、わたしに絵の内職をさせてくれる。
内職といってもお金をもらってるワケじゃない。ただ働き、というよりただのお手伝い程度。


元漫画家志望とはいえ、絵はそんなにうまくない。
というか全然うまくない。
控えめに言って、下手。

なのだけど、友達はすごくありがたがってくれる。わたし、絵だけはダメなんだー、といって。
「こないだ描いてもらった絵、ほかの先生にほめられた!わたしの手柄にしちゃったよwwありがとう」と言ってくれる。


ありがとうと言いたいのはこっちの方だ。

わたしには、できることはあんまりない。


最近ちょっと私的にいろいろあって。
うーさんは趣味の話とかが続かない、みたいなことを噂されてると小耳に挟むなどした。
わたしは多趣味に見えて無趣味なのかもしれん、と、それを聞いたわたしは思った。

わたしは、もうひとりの人と比べられていた。
もうひとりの人は、小さい頃からずっと好きで続けている趣味がある人だった。その趣味の話ならいくらでも話せるような人だった。


その人に比べたら、うーさんはつまんない人だ、というのが、周囲の人たちのわたしに対する評価らしい。


反論はありません。
わたしはつまらない人です。
中身が何もない、空虚な人です。


今まで、絵を描いたり写真を撮ったり書道をやったりウクレレをやったりしてきたけど、どれも数年~10年くらいで終わってしまっています。
絵(というか漫画)は比較的長かったけど、絵も写真も、好きなのは好きなのに、いつのまにか己の承認欲求を満たすための手段として使うようになってしまってた。

承認欲求強すぎな自分を殺したのが2年くらい前。
人の承認を求めるのをやめた。SNS全部やめた。

そのときに、絵は全然描かなくなって、写真は、好きだから未だに細々とやってる。
写真もそういう不純な動機でやってた時期があるし、ほとんど写真撮らなくなってた期間もあったから、もう趣味とか言えるほどのものじゃない。


趣味的なもので一番長く続けてるのは、各種語学学習かもしれん。
30年くらいやってる。でも、一つ一つの言語は10年ちょっとくらいしか続けてないし。
それに語学学習やってますっていうと、驚かれて、中には「こいつ自慢してやがる」って思う人もいるので、語学学習が趣味ですとは、あまり人には言わないようにしてる。


話が逸れたけど。


二十数年ぶりにこの地に戻ってきたワケだけど、ここに残っていた数少ない旧知の人は、いまだにわたしのことを、「絵が得意な人」と思っている。
わたしはこんなに長く生きてて何一つ自分のものにできてない、つまらない人なのに、まだ「絵が得意な人」と思って、絵の仕事を手伝わせてくれるのです。

それで、頼まれて絵を描くと、下手な絵なのに、すごく喜んでくれるのです。


無趣味でつまらない人だと職場で言われているわたし。うーさんに雑談しても話が続かなくてつまらない、とも言われてる。らしい。社長が言うから本当なんだろう。
確かに事実だよなとも思う。


だけど、職場の外では、二十何年も無沙汰をしていたわたしに絵を描かせてくれて、しかもこんな絵でも上手だといって喜んでくれる友達がいる。

ありがたい。
本当にありがたい。

友達のありがたみというのを、近頃本当にしみじみと思う。


こんな職場から早く退散して、もっと自分を活かせるところに行こうと思います。