宇宙手帳

広く日常。

衝撃の空中インド武侠映画

イタリア旅行の帰りの飛行機で観た映画。

まず前置きとして、わたしの大好きなイチオシ映画をご紹介。

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四十年以上前の香港の武侠映画、『新獨臂刀』(邦題: 『新片腕必殺剣』)です。
親友の敵を討つために、ただひとりで敵の総本山に突撃する、一度は剣を捨てた元二刀流の片腕の男!
大きな木造の橋の上での百人斬りシーンが圧巻。タランティーノにも影響を与えたと言われる名作です。


さて。2016年GWのイタリア旅行の帰り便で。
行きの機内で観たフランス映画と日本映画がどちらもピンとこなかったので、「帰りの便ではボリウッドを観よう」と決めていました。
早速「映画」カテゴリから「ボリウッド」を選択。
見た目いちばんバカバカしそうなのを観てみることにしました。
↓これ。

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ボリウッドの娯楽映画だから、ストーリーはほとんどどうでもいいっていういつものノリ。冒頭から歌って踊る。
インドのおじいちゃんが踊ってるのがかわいいなあ、などと思いながら楽しく鑑賞していました。最初は。
別にネタがバレたからってどうこう言うほどの内容でもないので、簡単にあらすじを書いておきます。(英語字幕で読み切れなかった部分もありましたけど、大勢に影響はないでしょう)


主人公はちょっと頼りないインドの青年。ケンカも弱い。
突然ルーマニアの美女のボディガードの仕事をすることになったが、彼は英語ができず、ルーマニアの美女(サラ)はヒンディ語ができないので、意思の疎通ができない。変な通訳を介して、度重なる勘違いを無視しつつ、二人はピンチを乗り越えていく。
お約束通り、主人公のインド人はサラとなぜか両想いに。
ところが、敵のボスも彼女に惚れている。これも定石通り。


敵ボスは、汚い手を使って、サラとの結婚に無理やりこぎつけてしまう。
「明日が彼女の結婚式だ」との情報を聞いた主人公は、なぜか「明日が自分と彼女との結婚式なのか!」と早合点。慌てて服と花とケーキを買いに行く。
山の中の教会で司祭に誓いの言葉を問われるも、誓いの言葉を口に出すことをためらうサラ。
そこへ、新郎の衣装+ターバン姿の主人公が花束を持って満面の笑みで登場。
ところが敵ボスと自分の恋人との結婚式が行なわれている場面にショックを受ける主人公。
そして修羅場が始まりそうな雰囲気に。「ここでは戦えない。外へ出ろ」と敵ボス。


ここからですよ。


教会から出ると、そこにいきなり、長さ100メートル・高さ数十メートルの巨大な木造の橋がドドーンとかかってるんです。
これは……この橋は!
どう見ても!


名作・新 獨 臂 刀!!
インドなのに!!


自分の結婚式だと思い込んでいた割には、なぜか親族や友達をひとりも呼んでいない主人公。
たったひとりで敵の部下100人くらいを相手に、橋の上で戦います。剣などの武器はないので素手で。ラジニカーントみたいに手ぬぐいを使うこともなく。
実は主人公よりもサラの方がはるかにケンカが強いんですが、なぜか彼女、このバトルにはまったく参加せず、見ているだけ。
いつの間にか強くなってた主人公は、100人近い敵の雑魚を全員倒してしまいます。


そしてボス登場。卑怯にも拳銃を所持。
撃たれて、橋の真ん中で倒れる主人公。
……えっ!?原作(?)と違う!


しかし、ここで終わらないのがボリウッド
倒された主人公、なぜか突然「俺はSinghだ」とかよくわからないことを呟いて、勢いよく起き上がったかと思うと、敵ボスを素手でなぎ倒し、橋の下に落としてしまいました!
橋の下に川なんて流れてないという点もお約束。敵は数十メートル下のゴツゴツした地面に落ち、何やら一言つぶやいて絶命。


これもうオマージュ断定していいですよね……?


そして歌って踊るハッピーエンドへ。
【劇終】
ああすごいボリウッド映画でした。そして一部すごい武侠映画でした。


キルビルも新獨臂刀のオマージュ作品らしい(未見ですみません)ですし、新獨臂刀は、ジョン・ウータランティーノに影響を与えるくらいだから、インド映画界にも衝撃を走らせていたとしてもおかしくない。
主人公がひとりで橋の上で100人の敵を倒した後、敵ボスを橋の下に落として殺す映画が、世界中で何本作られたのか。探せばもっとありそうな気がしてきました。


このボリウッド映画、機会があればまた観たいです。日本語字幕版とか出てるのかな?
わかった範囲での情報を書いておきます。


タイトル:Singh is Bliing(←英語?意味は分かりません。Seeing is believingのモジリ?)
主演:A.Kumar, A jackson
監督:Prabhu Deva