さよならも言えずに
先日、お気に入り路地のひとつを、久しぶりに通ってみました。
すると、こんな状況になっていました。
……すみません、またモノクロ縛りで撮っていた日だったので、ついモノクロで撮ってしまいましたが。
以前に同じ場所を撮影したものがこちらです。↓↓
以前に撮った方は、カラーで、しかもフィルムで撮っていて、撮影条件が全然違っていて申し訳ないのですが、同じ場所だということはおわかりいただけるかと思います。
同じ場所なのに!
トマソン壁が!!
消滅していました。
跡形もなく、覆い隠されてしまっていました。
これはショック……。
といっても、ショックなど受けているのは、勝手にレトロ趣味で写真など撮っているわたしのような者の一方的な感傷によるものであって、この壁の持ち主及び一般の人の考えによれば、「壁面に残った隣家の痕跡など見苦しいから、キレイにしてやった」というのが一般的な感覚なのでしょう。
別の場所でも……
こんなこともありました。
何か発見があるはずもなかろうとたかをくくって、いつもの見慣れたはずの散歩道を歩いていた時のことです。
あのブルーシートは何だ?
工事中?
あっ!
あの建物が消えているんだ!!
ということに気づきました。
この古い茶問屋の建物の右隣には、かつて下の写真のような呉服店があったのでした。↓↓
呉服屋の壁面の、ひし形が縦に並ぶデザインが、古風でよいなあといつも思っていたのです。
それが突然、消えてなくなってしまった。
これもショックでしたね。
ええ、懐古厨の独り言ですYO……。
それにしても。
ちょっと本題から話が逸れますが、この茶問屋の写真、ビフォーとアフターは違うデジカメで撮ってるんですけど、色が全然違っててビックリしますよね。
撮影時の天気や光線も少しは違いに影響してたかもしれませんけど、それにしても、一見同じ建物とは思えない。
そんな話は、また別の機会に書きたいと思ったりもしつつ、本題に戻ります。
変わりゆく風景
二十数年離れていた地元に戻ってきて、1年ちょっと経ちました。
その1年ちょっとの間に、同じ物件を再訪してみたら、こんなことになっていた、と。
実は、「味のある建物が突然なくなっていた事件」がもう1件あったのですが、ビフォー写真が見つけられないのでした。
これも入れると、3件!
都合3件の物件が消滅しているのを、この1年の間に発見したというわけです。
ということは。
わたしがこの街にいなかった二十数年の間、いったいどれほどの優良物件が姿を消してしまったのか。
想像すると気が遠くなってしまいます。
その二十数年の間は、別の街で物件探しをしていたワケですけどもね。
別の街でも、やっぱり、数年住んでると、お気に入りの物件が突然壊されたりということが多々起こりました。
しかたのないことだと、わかってはいるのですが。
今日も1万歩以上歩いて、昭和建築を探したのですが、わたしの求める被写体は、もう本当に本当に、少なくなってしまったなあ……と、しみじみ思いました。
昭和建築探しはもちろん今後も続けますが、同時に他のジャンルでもやりがいを探さないと、撮るものがなくなってしまう日は近いな、などと現実と向き合ったのでした。
フィルムで撮る安来駅周辺
安来散歩には、こういうフィルムカメラも持って行きました。
Rollei35S(ローライ35S)という、古いカメラです。
この記事では、このカメラとこのフィルムで撮った写真をお見せしたいと思います。
ズームコンデジから、いきなりフルマニュアル単焦点機械式カメラに持ち替えても、特に戸惑うこともなく、路地散策のペースも崩れない。
すっかり手になじんだ写真機なのです。
写し込みたくなかったものを避けたので、なんか変な構図になってしまったけど、たまにはこういうのもいいかもしれない。
こういう、路地なんかの一点透視的な構図を撮ると、28ミリくらいの広角レンズだと、ちょっと間が抜けてしまうのですが、Rollei35(S)の40ミリレンズだと、とても自然な感じに写ってくれます。
テッサーというレンズを載せたRollei35も持っているのですが、今回使ったRollei35Sは、ゾナーというレンズがついています。
テッサーは別名「鷹の目」と呼ばれる鋭い描写をするレンズなのですが、ゾナーは質感豊かな描写をする、と言われています。
昭和建築の質感、出てますでしょうか。
いい路地がたくさんある街でした。
こういう街には、古い写真機が似合います。