宇宙手帳

広く日常。

今週のお題「読書の秋」

読書家ではないし、読書が趣味といえるほど読んでもいないけど、本を読むのは嫌いではありません。

好きな作家は?と訊かれたら、通常は江戸川乱歩と答えるのですが、今日はちょっと趣向を変えて、小川未明と答えてみます。


童話作家として知られる小川未明

有名な作品は、『赤いろうそくと人魚』や『野ばら』あたりです。
個人的に一番好きなのは『老婆』という短編です。


(以下『赤いろうそくと人魚』については詳しめに内容を書いていますので、この作品のネタバレを望まない方は以下を見ないでください)


赤いろうそくと人魚』では、昔話にありがちな「いいおじいさんとおばあさん」と「悪いおじいさんとおばあさん」の2組が出てくるんじゃなくて、いいおじいさんとおばあさんが金に目がくらんで、途中から凶悪なおじいさんとおばあさんに変貌する怖い話。
そして、人間を信じたのに裏切られた人魚の恨みが不気味に余韻を残します。

『野ばら』は、とても美しい話。泣ける。


『野ばら』や『月夜とめがね』のような美しい童話も好きなのですが、小川未明はときどき妙に不気味な話を書くので、不気味話も好きなわたしは、そっち系も気になってしょうがない。

個人的お気に入り

図書館で借りた全集や青空文庫で大量の小川未明作品を読んでいるのですが、今のところ一番のお気に入りは、『老婆』という作品です。

これは童話ではないと思います。
あまりメジャーな話ではないようなので、ここでは内容は書きません。気になる方は青空文庫あたりでどうぞ。


とにかく不条理で、謎すぎ。
途中ドッペルゲンガー現象のようなことが起こったりもするし、この老婆、何者!?と引き込まれること請け合いです。

そして衝撃のラスト……!!
最後まで不条理なまんまで、何も解決しない話なのですが、こういうのがわたしは好きなので、おススメしておきます。


他にも、不気味な祖母の亡霊か生霊かわからないようなのが出てきて、無言で球根をくれる話とかもあって、この作家は時々こういう意味の分からない不気味な話を書いてくれるので本当に好きです。

潔癖

作品とは関係ないのですが、小川未明は潔癖だったそうです。
それで、他人の手垢がついた古本とかが苦手だったらしい、という話を聞いて親近感を覚えてしまいました。
わたしは子供の頃に伝染病棟に入院していたせいで潔癖になったんですが、小川未明は生まれつき潔癖だったのでしょうか。よくわかりません。

短編作家

Wikipediaによると、小川未明は短気な性格のせいで、作品も短編しか書いてないようです。
短編の方が読みやすいので助かります。その代わり、作品数は非常に多いです。

作品数は多いのですが、結構当たりハズレがあるし、似たような話もあります。
自分勝手な人ばかり出てくるワケのわからない話があったり、何が言いたいのかわからない話とかもあるんですが、どれも短編なので、当たりもハズレもサクサク読み進められるのがよいところ。
いろんな話の詰め合わせなんだなと思って読むのも楽しいものです。

まとめ

童話の皮をかぶった不条理な話や不気味な話が好きな方にお薦めします。


すっかり忘れてたけど、過去に似たような記事を書いてましたね。すみません。
oolongchai1211.hatenablog.com