書き味が気に入っている万年筆
Carenèという万年筆を選んだ背景には、
- ヨーロッパ共通規格カートリッジが使える万年筆が必要だった
- でも雑誌の付録とかじゃなくてそれなりに良いものがほしかった
- でもできるだけお手頃価格のものじゃないと買えない
という複雑な事情があった。
要するにわがままな要求をしていただけなのだが。
そんな条件に合う万年筆はなかなか見つからなかった。
ヨーロッパ共通カートリッジが使えるメーカーというと、ペリカン・モンブラン・デルタくらいしか思いつかなかった(他にもいくつかあるけど)。それらも吸入式が多く、カートリッジが使える両用式の中にはあまり心を揺さぶられるモデルが見つからない。タレンタムあたりにするか……。
そんな時、ふと思い出した。
以前、まったく別の動機から、ウォーターマンのカレンを買おうかと画策したことがあったことを。
その時は、「ウォーターマンのインクを使ってみたい」という気持ちが先にあって、「ところでウォーターマンの万年筆ってどんなのよ?」と調べていた時にカレンさんの存在を知って、カッコイイんじゃないのこれ!?と思ったのだった。
でも、なんだかんだ悩んだ挙句、「やっぱりカレン要らない」という結論に達して、アマゾンのほしいものリストから外したのだった。
そのカレンさんを今回、何かの拍子に再び思い出して、「これヨーロッパ共通カートリッジ使えるよね?しかも調べてみたらなんだか、コンバータよりカートリッジで使う方がいいようなことが多々書いてあるよね?」となって、カレンさんは再びわたしのほしいものリストに返り咲いたのだった。
――というわけで、いつの間にか、フロスティブラウン(字幅F)とブラックシー(シルバートリム・字幅M)が手元にあるわけです。
初めてのフランス万年筆
先に買ったのはブラウンFの方でした。
Fにしてはしっかり太さもある。国産プラチナと比べてはいけないのかもしれない。
Carenèとはフランス語で船の意味である、と書かれているサイトが散見されますが、わたしが調べたところ、船そのものに相当するのは別の単語があって、carenèは「船底(喫水線より下)」あるいは「流線型」という意味だそうです。ソースは仏和辞典。2冊ほど見ました。
メーカーがヨットの形にインスパイアされてカレンを作ったというのは事実のようです。
重さが適度にあるおかげで、書いている手と一体化して、右手第6の指みたいな気がしてきます。
まさしく高速艇で遮るものなき海原を突っ走るが如き疾走感もて書くことができます。
船からの連想で、『夢の舟乗り』の歌詞など書いてみました。
コンバータでインクを吸い上げるとインク漏れすることが多いという話を聞いていましたが、カートリッジでも漏れてます。
粗相の多い子だと聞いていたので、別に驚きません。大容量カートリッジだから、多少漏れても心配ないYO!漏れたら拭けばいいんだYO!
ちょっと意外だったのが、罫線の入っていない紙にカレンさんで縦書きしてみたら、えらくキレイにまっすぐ書けたことでした。
罫線なしの紙に縦に書くと、いつも必ず曲がるのですが。
それに、わたしはほかの太字っぽい万年筆で書くとポップ臭い字になることがあるのですが、カレン中字は、太字くらいの太さがあるのに、流れるような(当社比)日本語らしい字が書けます。
何か物理的な安定感が関わっていそうですが、専門的なことはわかりません。
ただわかるのは、すごく書きやすいし書いていて気分がいいということだけです。
机の上のペントレイに何本か並んでいる中から、どれか選ぼうとすると、ついついカレンさんを選んでしまうことが多いです。
でも、粗相が多いので、外出時には残念だけどいつもお留守番させています。
他の万年筆もちゃんとまんべんなく使ってるので、安心してくださいね。