宇宙手帳

広く日常。

探していたもの

ずっと探していたもの。
引越しのために片付けをしていて、それがついに出てきました。


大阪に来たばかりの頃、すごい音楽を聴いたことがあって。
その演奏者が誰だったのか、あとになって調べてもわからなくて、「確かあの演奏会のパンフレットを取っておいたはず」と思って探していたのでした。


それがこれ。
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演奏会といっても、区民音楽会みたいな感じで、公民館のような小学校の体育館のような場所にパイプ椅子を並べただけのシンプルな会場。もちろん入場無料。
引っ越してきたばかりで友達もいないしやることもなくて暇だからと、ひとりで行ってみたのですが、観客はほとんどおじいちゃんおばあちゃんばっかり。


クロード・チアリとかウクレレ演奏とか、結構楽しかったのですが、とんでもなかったのが津軽三味線の演奏でした。
「ピアノが専門だが、ある名人(←すみません名前は忘れました)の津軽じょんがら節に感銘を受けて三味線を始めた」と紹介されたその人は、ステージの上で一人で三味線を弾き始めました。

三味線とか和楽器の単独演奏なんて、いいか悪いかよくわからんしなあ……と思いながら聴いていたのですが、聴いているうちに変な感じになってきました。
なんだか異様に引き込まれていく……と思っているうちに、津軽の雪景色が見えてきて(見たこともないのに)、そのうち何か得体の知れない感情がこみ上げてきて、涙がどんどん出て止まらなくなってきました。


公民館でパイプ椅子に座って、お年寄りにまじって演奏聴いて、ひとりダダ泣きしてる自分。完全にヤバイ人です。
涙を止めなければ。止めなければ!と思うのに、どうしても止まらない。


無料の区民音楽祭だと思って気軽に聴きに行って、えらい目に遭いました。
呆然としながら帰ったワケですが、「あの演奏は何だったんだ」と改めて思うようになったのは、それからだいぶあとになってからでした。
何かすごいものを聴いてしまった。あの人は誰だったんだろう。と、気になりつつも、日々のあれこれにまぎれていってしまいました。


大阪を去る直前になって、またあの人のことを思い出して、あの演奏会のパンフレットがどこかにあるはずなんだがなあ、と思いながら片づけていたら、やっと出てきた、という次第です。


その演奏者は、久保比呂誌さんという人でした。神戸のピアニストだそうです。
YouTubeにも動画があるので、興味のある方は見てみてください。
機会があればまたあの演奏を聴きたいです。