宇宙手帳

広く日常。

デジタルの目アナログの目

少し前にデジカメを買いました。
あまり詳しい情報は書かないことにしますが、有名メーカー製の最新か2番目くらいに新しい、小さいデジカメです。

早速、充電をして、写真を撮ってみました。コンデジなのでビューファインダーはなく、液晶モニタを見ながら撮ることになるし、シャッターを押したら液晶モニタで確認します。
…が。

撮りたい気持ちがなかなか上がってこない。その場の空気自体はとても楽しくて、気分はいいはずなのに、シャッターを切りまくろうというノリが来ないのです。
理由は簡単で、液晶画面が好みじゃなかったからです。
全体にマゼンタがカブったような下品な色といい、不自然なコントラストの強さといい……これを見ながら撮るのはちょっとなあ……。となって、おのずと撮影枚数も少なくなってしまいました。

家に帰って、撮った写真をPCで見てみると、液晶で見たのとは違って、色もコントラストも比較的自然だったので安心しました。これだったら、とりあえず液晶画面は気にしないで撮ればいいかな。

で、そこでやめておけばよかったんですけど(笑)。
ふと思い立って、ネットでこの製品のレビューを見てみたところ、驚いたことに、「液晶がきれい!素晴らしい!」という評価が非常に多くてですね。逆に、「PCで画像データを見たらがっかりする」という声も。
あれを…キレイだと!?…わたしの目が悪いんですかそうですか…。


ふと、初めて地デジを見た時のことを思い出しました。

地デジが出て来て間もない頃、実家の大きなテレビで初めて地デジ放送を見た時に、
「思ったほどキレイじゃねーな」
というのが第一印象でした。これならアナログハイビジョンの方がずっとキレイだろう、と思った。
当時のわたしの目に映った地デジ画面は、色がわざとらしいほど鮮やかで、大画面を意識してかコントラストもビシバシ強調されていて、正直あまり長時間見たくないなと思ったのでした。たまたまその番組がそうだっただけかもしれませんが。

個人的にはそのように感じたものの、世間一般はあれを「キレイ」と認識しているワケで。わたしもその後何度か実家に帰ってあの画面を見ているうちに、だいぶ見なれてきた気はします。
それでも、4年前に引っ越して以来わたしの家にはテレビがないので、地デジテレビを見ることはめったにありません。そのせいか、世間一般の人たちのデジタルに慣れた目に比べたら、まだまだアナログ寄りの目なのだと思います。
昔の白黒写真の、細かい粒子で表現された画像とか、水彩画の絵具のムラとか、書道でいうなら墨のにじみや渇筆とか…そういうのを美しいなと思う系。

時代について行こうと思ったら、このカメラの液晶を見て、キレイだ!と感じる境地に至らないといけない、ということなのだと思います。そして、たぶん毎日地デジを見てたら慣れてきてそういう目になっていくのだろう、と。
でもわたしは今後、絵で仕事をすることはたぶんないと思うし、自分の感覚をわざわざ時代に合わせようと努力するのもなんだかなーと思うので、わたしは今のままの目をキープしていこうと思うし、テレビは買わないと思う…。見たい番組が少なすぎるし。

カメラの話に戻るけど、某O社の一眼(レフじゃない)デジカメの液晶画面は、わたしもきれいだと思う。時代だとかナントカ偉そうなことを書いたけど、実は単なる好みの問題なのかもしれません。